はじめに
「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」という言葉を聞いたことはありますか?
ロコモとは、筋肉・関節・骨などの“運動器”の機能が低下し、将来的に介護が必要になるリスクが高い状態のことです。
高齢者の問題と思われがちですが、最近では若年〜中年世代にもロコモがみられることが分かってきています。
今回は、
- 「痛み」とロコモの関係
- 運動習慣との関連
- 若いうちからできる予防
について、企業労働者を対象にした研究をもとに紹介します。
ロコモは高齢者だけの問題ではない
この研究では、日本の企業で働く836名(平均年齢44.4歳)が対象となりました。
その結果、なんと22.8%がロコモに該当していました。
つまり、
5人に1人以上がロコモのリスクを持っていたということになります。
痛みがある人ほどロコモが多い
研究では、
- 首
- 肩
- 腰
- 股関節
- 膝
などの痛みについて調査されています。
すると、ロコモのある人では、これらの痛みが有意に多くみられました。
特に多かったのは、
- 腰痛
- 首・肩の痛み
でした。
さらに重要なのは、
**「痛みの部位数が多いほどロコモのリスクが高かった」**ことです。
つまり、
「少し腰が痛いだけだから大丈夫」
ではなく、
複数の部位に痛みがある状態は、身体機能低下のサインかもしれません。
なぜ痛みがロコモにつながるのか?
痛みがあると、人は自然と身体を動かさなくなります。
すると、
- 筋力低下
- 歩行能力低下
- 活動量低下
が起こりやすくなります。
この研究でも、ロコモのある人は
膝伸展筋力(太ももの筋力)
が低い傾向を示しており、
膝伸展筋力低下は、ロコモと関連していました。
運動習慣がある人はロコモが少ない
研究では、運動習慣を5段階で評価しています。
その結果、
- 運動習慣が低い人ほどロコモが多い
- 定期的に運動している人ほどロコモが少ない
という関係がみられました。
また、運動習慣が良い人ほど、
- 筋力
- 歩行速度
- 歩幅
- 身体活動量
も高いことが示されました。
「運動しなきゃ」と思っているだけでは不十分?
興味深いことに、
「運動した方がいいとは思っているけど、まだ行動できていない人」
でロコモの割合が高い傾向がありました。
つまり、
“分かっているけどできない”
状態が続くと、身体機能低下につながる可能性があります。
逆に、少しずつでも継続している人は、ロコモ予防につながる可能性があります。
若いうちからの対策が大切
ロコモは、ある日突然起こるものではありません。
- 痛み
- 運動不足
- 筋力低下
- 活動量低下
が少しずつ積み重なることで進行していきます。
だからこそ、
- 腰痛を放置しない
- 肩や膝の違和感をそのままにしない
- 日常的に身体を動かす
- 太ももの筋力を保つ
ことが重要です。
まとめ
この研究から分かったことは、
✔ 若い世代・働く世代でもロコモは存在する
✔ 痛みがある人ほどロコモになりやすい
✔ 運動習慣はロコモ予防に重要
✔ 筋力や歩行能力の維持が大切
という点です。
「まだ若いから大丈夫」ではなく、
将来の身体機能を守るために、今からの習慣づくりが大切かもしれません。
参考文献
Kato T, Nishimura A, Ohtsuki M, Wakasugi Y, Nagao-Nishiwaki R, Fukuda A, Kato K, Sudo A. Is musculoskeletal pain related to locomotive syndrome even in young and middle-aged adults? Modern Rheumatology. 2021. doi:10.1080/14397595.2021.1906512

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