統合と解釈 -デュシャンヌ歩行の例を中心に-

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はじめに

今回も統合と解釈の説明をさせて頂きます。以前の投稿でも、「理学療法プログラム立案の考え方 -統合と解釈を中心に-」、「理学療法プログラム立案の考え方-問題点の抽出を中心に-」などの解説をさせていただき、大変反響が大きかったため、今回はもう少し具体的に他の例でもご説明しようと思います。複数の例を見ることで、本質的な意味がわかりやすくなるのではないかと考えましたので、是非前回と今回の投稿を合わせてみて頂ければと思います。

統合と解釈とは?(復習)

そもそも統合と解釈とは、

「患者の動作がなぜできないのか」という問題の全体像を明確にする作業”を指します。

つまり、わかりやすくいえば、「手術後に歩けなくなった」「正座ができなくなった」「腕があがらなくなった」などの動作制限があり、その動作制限がなぜ起こっているのか?について考える過程が統合と解釈になります。

それが、筋力低下によるのか?疼痛なのか、柔軟性低下によるのか、そういったどの要因が原因で動作制限が起こるのかを考える過程になります。

動作制限や身体機能が低下しているかどうかを判断するために用いるのが、ずばり”理学療法評価”です。理学療法評価により「正常なのか(満点なのか)、正常よりも動作・機能が低下しているのか(減点されているのか)」を判断するのです。MMT、VAS/NRS、ROMなどにより。

当然、術後の方を見れば、「痛くて歩けなさそう」「手術で筋力も弱そう」というのはわかるでしょう。ただ、我々は理学療法士というプロなので、本当に筋力は弱いの?どれくらい弱いの?と聞かれたときに、根拠を説明しなければいけません。その時に頼りになるのが、理学療法評価です。

「MMTという筋力評価で、5点中2~3点でしたので、この方の筋力は弱くなっているんですよ」「NRSという疼痛の評価で、以前は8/10点でしたが、今回は2/10点に減っているので、以前より痛みはましになっていますね(減っていますね)」などのように、理学療法評価をすることにより説得力が変わってきます。

それでは概要はこれくらいにして、具体的に、今回は歩行動作能力低下(デュシャンヌ歩行)とその原因について考えていきましょう!

デュシャンヌ歩行とは

デュシャンヌ歩行は、学生さんも授業でよく聞く異常歩行の1つではないかと思います。また臨床に出ている先生方も非常によく出会う現象の1つではないかと思います。

そもそも、デュシャンヌ歩行とは立脚期において体幹が立脚側へ倒れるような異常歩行です(下図)

それでは、このデュシャンヌ歩行はなぜ起こるのでしょうか?

皆さんは、デュシャンヌ歩行になる原因をいくつ述べられますか?

実際に15秒くらいで、挙げられるだけあげてみてください。

ここからはデュシャンヌ歩行になる原因について考えていきましょう

デュシャンヌ歩行の原因

デュシャンヌ歩行の原因は多岐にわたります。結論から申し上げますと、

①股関節外転筋の弱化(主に中殿筋など)

②股関節内転筋の拘縮

➂腸脛靭帯の拘縮

④脚長差(立脚側の下肢の短縮) 1.5インチ以上

➄側弯

⑥ボディイメージの障害(遊脚側の下肢への認知機能の障害)

などが挙げられます。いくつ答えられたでしょうか?あくまでここに挙げた要因は、デュシャンヌ歩行の原因の一部になりますが、

このように、異常動作(今回はデュシャンヌ歩行)の原因は、どのような要因によるものなのか、と考える思考が統合と解釈になります。

もしこれらの原因がわからなかったというかたは、詳細や説明がこちらの「歩行分析 正常歩行と異常歩行」という本に載っていますので、から引用しましたので、こちらの詳細リンクから「歩行分析 正常歩行と異常歩行」と検索して見てみてください。

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原因を絞り込んでいく

そしてここからは、

先ほど挙げた6つの要因のうち、どれが本当の原因であるのかを絞り込んでいく必要があります。

当然、原因は1つではなく、2つ以上の要因によってデュシャンヌ歩行が出現している可能性もあります。

例えば、

①股関節外転筋の弱化(主に中殿筋など)

これは学生の皆さんもよく知っている評価で判断できますね、そうMMTです。

股関節外転の筋力評価を思い出してください。デュシャンヌ歩行が出ている方のMMTを評価して5/5であれば問題ありません。筋力が問題ではなかったということです。一方、仮にMMT2/5であれば(重力に抗することができないようであれば)、筋力低下がデュシャンヌ歩行の原因の1つである可能性がありますね。同様に以下の要因についても、評価していきましょう

②股関節内転筋の拘縮

股関節内転筋が拘縮しているということは?、股関節外転ROMに制限が出るということですね。では行うべき評価は、臥位で股関節外転ROMを評価してください。

➂腸脛靭帯の拘縮

②と同様に、腸脛靭帯で拘縮を起こすと、どうなりますか?骨盤からガーディ結節に停止するので、股関節外転拘縮ですね。そうなると、評価する内容は股関節内転ROMになります。

このように股関節外転・内転ROMを評価して、制限があれば、デュシャンヌ歩行の原因は内転筋や腸脛靭帯の短縮によってデュシャンヌ歩行の原因となっている可能性があると考えらえられます。

④脚長差(立脚側の下肢の短縮) 1.5インチ以上

脚長差は下肢長を測定することによって、左右差を確認できますね。

➄側弯

側弯は触診により、脊柱の棘突起を触ることで、側弯の有無を評価できますね。

皆さん、いかがでしょうか。デュシャンヌ歩行の原因を列挙する。そして、列挙したらその原因を精査する。つまり、精査するということは、5つの原因のうち、どれが本当にデュシャンヌ歩行を引き起こしているのかどうかを評価することです。

仮に、筋力低下もない、ROM制限もない、脚長差も側弯もない、のであれば、この5つの原因以外の要因を検討しなければなりません。つまり、どれだけその現象(デュシャンヌ歩行)の原因を知っているかどうかが、理学療法士としてのレベルになるわけです。多くの原因を知っていれば、その現象を治せる可能性が広がるわけです。

ここからは、わかりやすい話で、

端的に伝えると、筋力低下やROMに制限があるのであれば、外転筋への筋力増強運動やストレッチングによるROM改善を図ればいいのです。それでデュシャンヌ歩行が消失すれば、あなたの臨床推論、つまり統合と解釈があっていたということになります。

もちろん、それでよくならなければ、先ほど説明したように、他の原因を考えなければなりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。統合と解釈について、ご理解いただけましたか?

つまり統合と解釈とは、まとめると、

ある日常生活や異常歩行などの動作制限があり、その原因を考える作業過程のことをいいます。

今回の例でいえば、デュシャンヌ歩行の原因はなんなのか?5つ原因となる例をあげました。

原因となるものをあげるだけでなく、理学療法評価により5つの要因のうちどれが機能低下しているのかどうかを精査する必要があります。

そこで仮に筋力低下や可動域制限が原因とわかれば、筋力増強運動やROMExをすべきです。側弯や脚長差が原因であれば、体幹のストレッチングや足底板が有効かもしれません。これが理学療法アプローチです。

つまり、統合と解釈ができれば、理学療法アプローチを考えるのは、意外と難しくないです。原因と治療がセットになっているので。

ですので、以前の投稿でもご説明しましたが、統合と解釈までできれば、概ね60%くらいは理学療法プログラムの立案はできてきているようなものです。

今回の投稿で、なぜその現象が起こるのか原因を知っておく、勉強しておく必要性、重要性はご理解いただけたのではないでしょうか。歩行に関しては、こちらが私の参考にした本になりますので、以下のリンクから「観察による歩行分析 月城 山本ら」と検索して確認してみてください。

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またなにか知りたいことや感想などがあれば、こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。宜しくお願い致します。

感想や知りたいことなど

他の統合と解釈についての投稿もあわせてご覧ください→「理学療法プログラム立案の考え方 -統合と解釈を中心に-」、「理学療法プログラム立案の考え方-問題点の抽出を中心に-

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