変形性膝関節症における患者教育が膝痛の減少にどのような影響を与えるか?

はじめに

今回は、膝OAの疼痛を軽減するために、患者教育は重要なのか、について解説していきます。

変形性膝関節症における患者教育が膝痛の減少にどのような影響を与えるか?

結論から申し上げると、下図のように通常のケアと比べ、患者教育の方が疼痛軽減することが明らかになっています。

また下図のように、短期間の介入(6ヶ月未満の介入)において、患者教育に比べ、運動療法の方が膝関節痛の軽減に効果的であることが報告されている。(図2)

図2

したがって、疼痛を軽減するためには、患者教育は重要であるが、優先度としては①運動療法、②患者教育、の順番で行っていく必要があります。臨床現場でも、運動療法が膝OAの効果的であることが理解できると思います。以前の投稿でも、膝OAの疼痛軽減のための運動療法大腿四頭筋に対するトレーニングの戦略と実践について解説していますので、参考にしてみてください。

運動療法と患者教育を合わせて行うと?

またさらに、患者教育単体と、運動療法+患者教育を比べると、運動療法+患者教育群の方が有意に疼痛を軽減させることが報告されている。(図2)

図2

通常のケアと患者教育を比較した研究

ここで、”どのような患者教育を行うべきなのか”、について2008年にColemanが研究プロトコールを発表しているため、ご説明します。

対象者は?

対象者は膝OA患者を2群に分け、

介入群は膝OAの疾患特異的なセルフマネジメントプログラムを受け、

対照群は特別なプログラムは受けず、6か月後に両群の評価が行われた

どのような患者教育を行った?

疼痛管理戦略として、

  • 関節保護
  • フィットネス/運動
  • 鎮痛薬/薬剤の正しい使用
  • バランス/転倒予防/適切な認知
  • 認知技術
  • 病態生理学
  • 栄養/体重管理
  • 自己管理スキル
  • チーム医療
  • SMART目標(具体的、測定可能、達成可能、現実的、期限)

このように、セラピストが介入できる教育内容としては、関節保護や運動、バランス練習などの転倒予防運動、自己管理スキルのトレーニングなどが挙げられる。それに加えて、各施設にてチーム医療や多職種との連携が必要になります。限界点として、クリニックなどの施設では、セラピストのみの介入しかできないという点について考えられます。

まとめ

普段、参考書などには治療手技などの解説は数多くありますが、患者教育についての重要性や、具体的な内容については解説されていないものが多いように感じます。

本投稿において、

①通常のケアと比べ、患者教育を行った場合、患者教育を行った群の方が疼痛の軽減につながる

②患者教育単体よりも、運動療法+患者教育の方が疼痛軽減の効果が大きい

ということがわかりました。

したがって、運動療法と患者様への教育は、より疼痛減少の効果は期待できるということです。セラピストの方は、普段から配慮あるお気遣いなどの言葉かけをされている方が多い印象を受けますので、それに加え、トレーニングの重要性などの患者教育も併せて行っていきましょう

以上、参考にしていただければ、幸いです。

参考文献

Coleman, S., Briffa, N. K., Carroll, G., Inderjeeth, C., Cook, N., & McQuade, J. (2008). Effects of self-management, education and specific exercises, delivered by health professionals, in patients with osteoarthritis of the knee. BMC Musculoskeletal Disorders, 9.

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